日本の小紋柄

海外での生活が長くなるにしたがって、日本文化に対する敬意が深まってくるものです。日本に住んでいたころは、若かったのと、忙しかったのとで、改めて日本文化について深く考えたりしませんでした。残念なことをしたなと思っています。

毎年、1〜2週間、日本の家族や友人に会うために帰国しています。少し前に日本から戻ってきました。ゼンタングルを描くようになってから初めての帰国だったのですが、今回の旅を通して、どうして自然とゼンタングルに心が惹かれたのか、少しわかったような気がします。

日本では、様々な場面で繊細な模様を見かけます。いわゆる小紋柄ですね。着物の生地や日本建築の中に古くから取り入れられてきたものです。今は亡き祖母が日本舞踊を教えていたので、着物を日常的に目にして育ちました。そういえば、ゼンタングルっぽい小紋柄もあったな…と懐かしく思い出します。

日本は伝統的な古き良きものと近代的な新しいものを組み合わせるのが上手だと、外国の方々からの賞賛を受けています。まさにその例と言えるものが、2013年にオープンした大阪駅前グランフロントのエスカレーター横にありました!

これは伝統的な日本建築で使われる欄間をモチーフにしたものではないでしょうか。欄間とは、自然の光を室内に取り入れ、部屋の換気をよくするために、壁(天井と鴨居の間)に設けられる開口部材のことです。奈良時代から寺社建築に、平安時代から貴族の住宅建築に、江戸時代から一般住宅に取り入れられるようになったそうです。格子状のシンプルなものから、下の写真のような木彫りの繊細なデザインまで色々な欄間があります。

新築の家に見かけることはほとんどなくなりましたが、田舎の方の古い家や、寺社でよく目にします。豪華かつ繊細な欄間を彫ることができる職人さんが減っているのと、かかる手間暇を考えると、手彫りの欄間はけっこうなお値段になるそうです。京都の高島屋で、5代目の職人さんと少しお話しする機会がありました。現在受注・製作中の、とても大きな木彫りのパネル(欄間と呼んでよいのかちょっと不確かです)の写真を見せていただきました。実際の寸法は覚えていないのですが、大きな部屋の壁一面ぐらいかなと思います。ちなみにお値段は、そこいらの一軒家が買えるぐらいです。お金って、あるところにはあるんですね…

一般庶民の私は、職人さんのデザインしたコースターを2枚買って大満足です。これは手彫りではなくレーザーを使って作ってあるので、お手頃価格で購入できます。ゼンタングルをご存知の方にはお馴染みの、クレセントムーンやキーコのようなパターンが見受けられますが、どちらも日本に古くからある小紋柄です。ちなみに、クレセントムーンっぽいのは青海波、キーコっぽいのは市松という名称の小紋柄です。

今流行っているのか、色々な場面で同じ小紋柄を頻繁に見かけました。麻の葉と呼ばれるもので、カバン、テレビ番組のセット、コースター、そして炭酸水のボトルにまで使われていました!

日本の伝統的な小紋柄とゼンタングルのパターンをどうやって組み合わせようかな?とワクワクしています。

ゼンタングルと茶道

ゼンタングルって何?みたいなことについて、前回のブログポストで軽く触れました。ひとつひとつのステップについては、また別のブログポストで説明しますと約束したので、忘れてしまわないうちに書きますね。

ゼンタングルメソッド:

1. 心を落ち着け、感謝の気持ちでスタート

ZentangleMethod1今この時に感謝の気持ちを込めて、ゆっくり深呼吸しましょう。これから使う道具を感謝の気持ちで手に取りましょう。ゼンタングルタイルは綿100%、高品質のしっかりとした紙で、劣化の原因となる酸性成分を使用せずに作られています。角が丸く、周りがガタガタなのは、ゼンタングルは完璧を追求するものではないことを忘れないようにとの意図からです。ピグマシリーズのペン(日本国内で販売されているものは、左の写真とケースのデザインが異なる)は、顔料インキを使用した耐水性、耐光性のあるペンで、プロのイラストレーターさん達にも愛用されています。この紙とタイルを使えば、いつまでも色あせしない作品を描くことができます。今回は、タイルの裏側にサインと日付を入れましたが、場所、その日の気持ちなど、思い出になることをメモしたりもします。

2. 四隅に点を描く 

ZentangleMethod2鉛筆で、四隅に小さな点を描きます。タイルの四隅あたりのどこかに4つ点を描くだけです。あまり濃く描かないのがポイントです。簡単でしょ?

 

 

 

 

 

3. ボーダー(外枠)を描く

ZentangleMethod3次は、鉛筆で4つの点をつなげて、ボーダー(外枠)を作ります。この時、まっすぐの線を引く必要はありません。ふんわり曲がった線や、ぐにゃぐにゃの線、まっすぐっぽい線など、その日の気分で描いてください。写真の例では、まっすぐっぽい線にしてみました。

 

 

 

 

4. ストリング(セクション分け)を描く 

ZentangleMethod4続けて、鉛筆で適当に何本かの線を描きます。交差したり、ぐるっと回ったり、本当に何でもOKです。無限の可能性があります。深く考えず、幼心に戻って、自由に描いてください。ボーダーとストリングによって、小さなタイルの上のスペースが、さらに小さなセクションへと分けられます。初めからセクションに分けてしまうことで、途中で全体の構成に気を取られることなく描くことができます。写真の例では、ジグザクの線を描いてみました。

 

 

 

5. 各セクションにタングル(パターン)を描き入れる

ペンに切り替えて、選んだパターン(タングルと呼びます)を各セクションに描いていきます。ここでも、あまり深く考える必要はありません。サイコロを転がしてタングルを選んでもいいんですよ。(公式サイトで販売されているゼンタングルキットには、本当にサイコロが付いてきます)いきなりペンで描くなんて…間違ったらどうしよう?なんて少し心配ですか?ゼンタングルは完璧を追求するアートではないということを思い出してください。ゼンタングルを描く時、間違いというものは存在しないのです。「あっ、しまった」と思った時こそ、自分らしいスタイルを発見するチャンスなのです。

ZentangleMethod5

A.  Crescent Moonというタングルを左下に描きました。

B. 別のセクションに、少しスタイルを変えて再びCrescent Moonを描きました。

C. 右上にBeelineを描き、残ったセクションをHollibaughで埋めました。

 

6. 陰影をつける

ZentangleMethod6インターネットや布地のデザインなど、ゼンタングルっぽい素敵なデザインを色々な場所で目にしますが、陰影のない平らなデザインが多い気がします。陰影をつけることで、奥行きのある大胆な作品へと大変身します。タングルの中に自分らしさを表現するチャンスでもあります。陰影の有無で、どれだけ違いが出るか、今回の例でも明らかですね。

 

7. イニシャル/ サインを入れる

ZentangleMethod7あと一歩!プロのアーティストみたいに作品にサインしましょう。ゼンタングルタイルは、9センチ x 9センチの小さな作品なので、小さなイニシャルがぴったりかなと思います。

 

 

 

 

 

8. 作品を鑑賞する

270418ichigoichieひとつの事が終わると次へと急いでしまいがちですが、ここで一息ついて、自分の作品、一緒に描いた場合は仲間の作品を鑑賞し、ゼンタングルというアートを通して感じたことを大切にする時間を少し持ちましょう。

一期一会は茶道に由来することわざですが、茶会に限らず、この時間は、二度と巡っては来ないたった一度きりのものだから、この一瞬を大切にしようという含意で用いられます。

戦国時代の茶人、千利休の言葉とされています。茶の湯は日常の俗世を離れ、仏教の修行のような生活を理想としています。また稽古は知識で覚えるのではなく、体を通して会得していくもので、座禅を組みながら修行を深めていく方法にも似ています。千利休も禅の修行を受け、禅の思想(精神)を経験しています。茶の湯の醍醐味は、お茶の味ではなく、茶席に招かれ、茶席を去るまでの体験そのものにあります。亭主・客ともに一瞬一瞬の時間を大切にすることが、茶道の醍醐味です。作品そのものではなく、作品ができあがるまでの一瞬一瞬の時間を大切にするゼンタングルと似ていますね。